こんな記事が。
■「バージニア工科大学の学生、画期的な「重力電灯」を発明」【Technobahn】
■Lamp lit by gravity wins Greener Gadget award【バージニア工科大学】
>重りを48インチ(約122センチ)の高さの位置にセットすると重りが最低部まで到達する約4時間に渡って40ワットの白熱電球の明るさに等しい600~800ルーメンの明かりを燈すことができるなど、実用性も十分。
要するに、おもりを持ち上げてセットするだけで4時間以上照明としてつかえる電灯装置を発明した、と書いてあるのですが、、
いやいやいや、、絶対無理だろそれ。
ファンタジーとしてはいいアイデアだと思うけどSFとしてはちょっと考察不足じゃないかなぁ。
デザインコンセプトとしても良いとは思うけどサイエンスニュース?
「実用性も十分」ってちゃんと検証されてんのか?
直感で考えてもおもりの落ちるエネルギーだけで電灯の明るさを得るのは無理そうだが念のため計算してみよう。
おもりの質量は人が持ち上げられるくらいなので10kgと仮定。
高さを記事に書いてあるとおり122センチ、
地球上での重力加速度を9.8[m/s2]とすると、おもりが落下するまでに生み出すエネルギーは約119.56ジュール。
10[Kg] x 9.8[m/s2] x 1.22m = 119.56 [J]
約4時間点灯可能と書いてあるので時間あたりの仕事率は約0.0083ワット。
119.56[J] / 14400[s] = 0.0083[W]
記事で明るさを表す単位として使われている[ルーメン]は人間の感じ方を含めた明るさの単位なので同じ光のエネルギー量でも光の波長によって値が変わる。
人間の網膜がもっとも明るく感じる波長である555ナノメートル(黄緑色)の単色光のみを発光したとしても1ワットあたり最大でも約683ルーメンの光しか作れない。(視覚特性とエネルギー量保存の法則より)
よって記事の600~800ルーメンには最低でも0.87ワット必要である。
実際には発電効率もあるし、電力をすべて光に変換できるわけでもないの でもっと厳しいことになる。(熱力学第二法則)
上記で試算した位置エネルギーによる仕事率=0.0083ワットでは全然足りないことは明白。
「4時間」とか「600~800ルーメン」とかそういう数字はどこから出てきたんだ・・・。
そもそもそんな僅かな電力でよければ他にいくらでも発電の方法はあるよね。
>バージニア工科大学ではこの画期的な発明の特許を現在、申請中としている。
>企業からの要望があった場合には製品のライセンスも供与することも可能とした上で、企業による製品化に関しても積極的に対応する。
いやぁ、、製品化は難しいと思います。私見ですが。
理屈上理想的な装置を作れたとしても理論的にダメなんだからどうしようもない。
・・・でも工科大学だもんな。
きっと僕が何か見落としているんだ。そうに違いない。
おもりがもっと重いのかな。
いや、もしかしたら重力加速度が違うのかも。
「ドラゴンボール」によると惑星ベジータの重力は地球の10倍。
つまり重力加速度は約98.0[m/s2]。
戦闘民族サイヤ人なら多少重いおもりも持ち上げられるはず。
そういうわけでおもりの重さを(地球上での)400kgくらいにしよう。
これで位置エネルギーから約3.32[W]の仕事率が得られる。
スカウターを作ったあの科学で発電効率90[%]の発電機、発光効率200[lm/W]のLEDを実現できればちょうど600ルーメンくらいの重力電灯が実現できる(はず)。
*ちなみにこの装置を地球上で使うには4トンのおもりを使う必要がある。
#計算間違っていたらすみません。